2024-01-01から1年間の記事一覧

ウラジーミル・ソローキン『愛』 亀山郁夫 訳

多少のネタバレあり。鬼才・天才・変態・モンスター・狂人と言われるソローキンの17作の短編集。ただのエログロだと思って読むべからず。あなたの深層心理が臓物の中から鷲掴みでひねり出される。 本作はロシアの作家ウラジーミル・ソローキン(現在はドイツ…

清水俊史『ブッダという男—初期仏典を読みとく』

ブッダ(お釈迦様)という人物を現代の倫理感でとらえることの危うさを知ることができ、無我と縁起の解説本として分かりやすい。 我々が普段お釈迦様と呼んでいるシャカ族の王子ガウタマ・シッダールタ(以下ブッダ)は現在より2600年ほど前に実在した人物で…

村上春樹『街とその不確かな壁』

多少のネタバレ有り! 読みながら幸せな気持ちになったり、悲しくなり涙をながしたり… 昨年(2023年)の4月13日に発売された本作を私は発売日に購入した。だが、その時は他に読まなければならない本があって、すぐには読まなかったはずである。 読み始めるも…

九段理江『東京都同情塔』

第170回(2023年度後期)芥川賞候補作受賞作 本作はこのブログ発表時点では、まだ単行本が発売されていない。1月17日の第170回芥川賞・直木賞発表日に発売される予定である。よって、私は初出の「新潮 2023年12月号」にて読み、書影は出版社のサイトからひっ…

樋口一葉『大つごもり』

ネタバレあり! 樋口一葉という名前を知らない日本人はまずいないと思う。あと数ヶ月で変わってしまうが、現在の五千円札の肖像になっているし、中学だか高校の国語の授業でも一葉の名と『たけくらべ』が代表作であることくらいは習うであろう。ただし、それ…